老いぼれの独り言

イメージ 1
 
土曜日の郵便窓口は南郵便局まで出向かねばなるまい。
氷雨混りの寒い日だった。
裏手の奥まった箇所に駐車場がある。
所用を済ませ、ドアを閉めキイーを回しおもむろに発進させたその矢先に突如として真っ赤な物体が目の前を過ぎった。
いや赤き物体が左から飛び出した。
わたしは間に髪を入れない瞬時に制止ブレーキを体で反応させた。
網膜に入った情報を脳みそへそして右足のブレーキペタルに伝わる速度が早かったのか遅かったは自分ではまったく分からない。
兎に角ブレーキを踏み付けたが効かぬどころか逆に猛発進したではないか。
わたしは、全てを観念した。
ドカンと衝突音が辺り一面を震撼させるはずであった。
赤き郵便車両はわたしとニアミスしながらもものの見事に脱出した。
まさに『相抜け』そのものが成立した。
相手の運転技量が卓越していたのだろう。
左へハンドリングしながら加速して接触を避けた。
高齢ドライバーがペタルを踏み違えコンビニショップへ突っ込んだ間抜けなニュースにお目に掛かるが、まさかおのれが其の当事者になろうとは夢にも存じ上げないことだ。
庁舎の壁に激突し二重衝突を寸でのことで回避し得たことは良とすべきか。
わたしもハンドル切りつつ急ブレーキを踏んだ。
後輪がざざーと1メートルほどスリップしながら止まった。
全てが一瞬の出来事だった。
郵便車両は何事もなかったかのようにわたしの視界から消えていった。