うらなりの記《113》

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⑲何にも増して借間住まいが辛かった。
登下校の折には戦戦恐恐とした面立ちで隠れ潜んだ。
誰にも見られたくなかった。
終戦間もなき当時なればことさら特筆に価するような事でもなかったのだが身分不相応に身の程知らずの見栄っ張りだった。
学校へ行く事自体苦痛となり全てを放擲してしまった。
家に閉じ篭もりこの母にも当り散らしてしまった。
何ということを、すみません許してください。
でも、もうその声は母には届かない。