老いぼれの夕雲考《》111

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夕雲流剣術書        小出切一雲 誌(37)
 
畜生心を戒めた師夕雲
 
㉚【畜生心と云は先師夕雲平常の辭也、夕雲は學問もなく文盲第一の人也、故に言語に鄙俗なる事數多あり、然れども理は、本文に通じて聞ゆる文才の人の注釋よりも早く聞ゆる事のみ多し、折節には畜生兵法などと云れたるもむだごとにはあらず、】
 
 
口語訳
畜生心といえば、先師針谷夕雲の常日頃からの言葉なのであります。
実は、師夕雲は学問も無く文盲に等しいお人でありました。
それ故に、言葉遣いには田舎臭い卑俗な様子がたくさん窺えたのも事実でしょう。
とは言うものの、頭の中の筋道は実にしっかりしていて、文才に富む人たちの説明より当を得ているのです。
また、師は折に触れては畜生心とか畜生兵法などを口にされたのだが、それは決して無駄言ではないのであります。