マメマメしくマメの皮むくマメな人が此処にいる。
あのジェイムス・デイーンになぞらえて此のわたしもビーンズに挑戦した。
除草や土寄せに手間暇かけた甲斐あって我ながらビックリするほどよく育ってくれた。
初夏の頃には当然収穫の歓びを味わったが今一手放しで喜ぶわけには行かなかった。
何ゆえならば地主さんことやっさんが如何なさったことか収穫物を全部手離すと云う。
理由を尋ねれば好んで食べる者が誰もいないからだとおっしゃる。
とは云うものの独り占め致す理由はない。
何がしかを畑に残し置けば炎天下のもと枝豆が忽ち大豆に早変わりしてしまった。
マメマメしく大豆の鞘からマメを取り出す作業がわたしに課せられた。
元来わたしは単純な男、単純作業は厭わない慣れっこである。
暑いさなかセッセセッセと皮を剥く、此の強かなる分量の大豆と黒豆はやっさん宅へ届けねばなるまい。