2024-03-31 老いのひとこと 冷たい風を頬に受けながらも日ごとに花芽ほころび今にも咲かんとするが此の日も寒風がひゅひゅう過ぎる。 川面にはカルガモ群れ遊ぶが白き羽毛の異端児は見当たらない。 その代役に買って出たのかのように孤高の水鳥シラサギが一羽水辺に彩りを添える。 肌寒さに尻込みしたらしく金網越しに鳴り響く園児たちの黄色い金切り声は今日はない。 諦観の色染めし静閑とした面立ちでベランダに佇むあの老人のお姿はやはり今日もない。