法定の事≪10≫

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法定の事=右左轉 その1


 


山田次朗吉先生の教本によれば法定三本目「右転左転」は秋季肅殺 ( しゅくさつ )勢にて無窮 ( むきゅう )の變化を勤むるなり


とある。


秋が深まり厳しい秋気が草木を枯らしてゆく。


その変化の技の見事さ、その打太刀の変化を気で読み息合いで察し切れ目なく対応しなくてはならない。


仕太刀は打太刀の変化に咄嗟の判断で応じなければならない。


宏大無辺なる変化に順応する縦横無碍なる気勢を体現しなくてはならない。


 


1 打太刀、仕太刀共に閉足直立正眼の構えになる


2 両者共に木剣を垂直に立てて暫し停止する。


3 次いで、剣尖を左に右手で木剣を水平に掲げ左手親指人差し指の間で支える。


4 おもむろに両手を頭上真上に掲げ併せて閉足両足の踵を浮かせて背伸びする。


5 次いで、剣尖で大きな弧を描きながら宇宙の鋭気を吸気と共に丹田に収める気勢で両腕を肩の高さまで開き左手人差し指は大地を指す。


と同時に両の足を左右と肩幅ほど踏み出す


此れ上半円という。


6 上半円を演じてからおもむろに剣尖を左に向け木剣を水平に右拳を額の前方にして ( かざ )し、そして開いた足を左右と前方に踏み出し閉足となる。


1~6の動作は打太刀が打ち起こし仕太刀は遅速なくこれに従って行う。


7-1(打太刀)は閉足 ( かげ )の姿勢から「エイ」の掛け声と共に行き成り右斜の姿勢に変化する。


7-2(仕太刀)は打太刀に応じて閉足翳の姿勢から「エイ」の掛け声と共に急いで正眼の構えに変化する。


8-1は右斜の構えから迅速に正上段の姿勢へ変化す。


8-2は正眼の構えから打太刀に応じて遅速なく右斜の構えへ変化する。


9-1は閉足正上段の構えから左足を大きく踏み出し左上段の姿勢となり仕太刀の動きに応じて左足を大きく退いて「ヤエー」の掛け声と共に正面を打つ。


9-2は閉足右斜の構えから左足を大きく踏み出し攻めの気勢から更に右足を一歩踏み込んで「ヤエー」の掛け声で正面を打ち両者は切り結ぶ。


10-1(打太刀)2(仕太刀)共に切り結んだ後共に左一重身の姿勢から「ウーン」の発声で一歩出て右肩より体当たりに行く。


なお、一重身となるには打太刀は左足に右足を引き付け仕太刀は右足に左足を引き寄せる。


刃を真横にして左に向け右手親指と人差し指で木剣の峯を挟み両脇を締める。


11-1は一重身で体当たりの後は右足左足の順で後ろに開き左上段の姿勢となる。


11-2は体当たりの後は左足右足の順で後ろに開き左上段となる。