老いのひとこと

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夜回りならぬ西日を浴びながらの昼行燈の奇行が定番として定着してしまった。
昼日中に拍子木を打ち鳴らすことは傍から見れば奇異に映り非常識極まりなき老害として顰蹙るを買っていることはありありなのです。
現に面と向かって飼い犬になぞらえ拍子木の音を否定なされる御方にも出くわした。
行き成り冷や水を浴びせられ意気消沈した日も確かに在った。
でも「捨てる神ありゃ拾う神あり」の金言通り思いも寄らぬ幸運に恵まれたのです。
少々遠慮がちにカチンカチンと歩めば前方に犬の散歩中の御仁あり、一瞬悪い予感が走ったが構わず進めば飼い主の紳士は立ち止まったまま人懐っこい笑みを湛えて軽く会釈までして愛犬をわたしに差し出すように近付ける。
漆黒のラプラドル犬が全身をくねらせ歓びを大袈裟に表わしわたしにじゃれ付くではないか。
わたしの手を舐めまわし軽く噛む、前足をもたげて飛び付く。
「こいつは人間が大好き、犬より人間に馴れ馴れしいヤツなのです」と飼い主はいう。
「犬は賢い」、此の犬は間違いなく貴方に見習ったのです。
貴方がそう仕込んだに違いない。
特養ホームで癒しの特技を遺憾なく発揮する場を考えて見られてはどうでしょうかと付け足した。
此のペイちゃんの素晴らしき人となり成らぬ「イヌとなり」に盛大なる拍手を贈らねばなりません。
ありがとうThank You。