老いのひとこと

太田垣蓮月に見染めて蓮月焼にぞっこん惚れた、身の程知らずの野暮なヤツ、何んと云っても飾り気のない只ひたすら素朴さを追い求めるところが大好きだ。

幾ら力んでも傍辺りにもより付けないが蓮月師匠の心意気を真似る、願わくは弟子入り所望いたしけれ。

先日は師匠の代表作を茶碗に刻み込んだが今回は蓮月モドキの急須に彼女の手法に準えて古釘で

宿貸さぬ

人の辛さを

情けにて

おぼろ月夜の

花の下ふし

 

と彫り入れた。

恐らく蓮月さんも左手に急須を持ち書き入れたであろうと想像するだけでゾクゾク致す。

程よき乾きぐあいでなければ早ければ原形が崩れるし遅すぎれば彫ることが適うまい。

お師匠さんより頃合いのコツを尋ねて見なければなるまいぞ。

 

前作は縦長気味で今回は扁平過ぎたようだ。

二通りの蓋を試作した、其の日の気分に応して使い分けしよう。