老いのひとこと

高が外歩きであれ最早此のわたしに取りては重大なる一仕事となった。

決して暇つぶしのお遊びではない重大なる決意と覚悟を持って事に当たらねばならない。

然りとて必死の思いで終始強面で歩むわけにはゆくまい、目にする風物を愛で心を揺れ動かせ新たなる発見に期待を寄せる。

フラワー薬局では薬剤師さんから何時もように体調はどうですか血圧は大丈夫ですかと尋ねて来る、169だったが気にしません気にしても仕方が在りませんと笑顔で返す。

あすなろ公園のクローバーの花園には前にも増して甘い香りでむせ返りそうだ。

修行に集中する折に人物が現れスチールの手摺りの安全性を確かめられる、「何時も重宝させて頂き有難う」と礼を述べる。

ユニホームには金沢ポーツ事業団とある、「此の遊具の設置者と設置年度」をお伺いしたが市から委嘱された者なので是非とも「緑と花の課」へ問い合わせくださいと案内された。

以前、問い合わせが無駄だったこと覚えている、冷淡なお役人を思い出し興ざめだ。

石踏みを続行すればこの前とは異なる幼い学年の女の子が二人靴を脱ぎ靴下まで取ってわたしの後ろから付いてくる、好奇心旺盛な子たちだ男の子も試み始めるがお靴のままだった。

此の日は男の先生も居られる管理職らしき女性の先生も引率される、「扇台でしょうか」と訊けば「はいそうですよ」と歯切れの良い言葉で笑顔を湛えて応答されたので気持ちが好かった。

「拙宅は川向い」と云い掛けたが躊躇ってよかった。

帰り際に女の子たちから「気を付けてね」と励まされなおさら気持ちが好かった。

そうだ、今日の学年は水筒持参だったなあ。

 

此の日も馬替上橋でイワツバメから歓待を受ける、乱舞する飛翔体から今日も元気を頂戴した、心を込めて「ありがとう」と叫んでしまった。