老いのひとこと

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わたしには四畳半の空間が分け与えられている。

雑然とものが散りばめられ足の踏み場もない。

でも此処が安住の地であり気が休まり落ち付き、集中できる憩いの場になる。

食事以外はほとんど籠もり切りで出て来ないらしい。

其処には息子から譲り受けた40年むかしのぽんこつステレオがある。

好んで聴き入る程でもなかったが年老いてからは猶のこと関心度が薄れてしまった。

従って音の出ない大型ラジオは最早無用の長物と化した。

然りとて安易にほっかすわけには行かない。

必ずや何れはやって来る其の時には枕元で花山勝友師のテープを聞かねばなるまい。

少しく狭苦しいゴミの山の中だが此の息子からのお古の壊れたラジオを今暫し温存いたすことにしよう。

どうしても捨てるわけにはいかないのだ。