老いのひとこと

 

額四土を素材にして今再び挑んだ、つまりひび割れ素材を何とかして手懐け克服しまいかと勝負した。

球上の土を轆轤に置き親指を突っ込み手捻りで円筒形を成形し、裏を返して厚さ加減を両手の指の感触にて調整する。

まさに真剣勝負だ、雑念を振り払い全神経を指先に集中させ一端の陶工気取りで取り組んだ。

これぞ陶芸の真骨頂と言えまいか、明鏡止水の無我の境地に埋没するのです。

円筒に6本の筋を入れ筋目に沿って六角筒へと変形を促す作業に移る。

ひび割れに最大限留意しながらの変容作業を延々と加えるが終ぞ得心の境地には至らず。

我が身の能力の限界を知ったのです。

 

例により汚れた包帯をぐるぐる巻きに巻き付けて仕事を終えた。