老いのひとこと

 

    無断掲載

男もほれぼれするような男の中の男の追悼演説を聞いた。

今は亡き安倍晋三元総理の非業の死を悼んで野田佳彦元総理が故人を偲ばれた。

胸を打つ心に響く名演説だった。

野党の分際ながらも立憲民主党には未だに斯くも素晴らしき逸材が居たものだ。

此の上なき最大の宿敵であり仇敵でもある政敵を精いっぱい労い褒めちぎった。

それは単なる安っぽい外交辞令ではない命を懸けた論戦を交したもの同士だけが知る魂の叫びのような呼び掛けだった。

此れは凶弾に倒れた安倍さんの遺恨を晴らすに足る最善の追悼演説となった。

安倍さんへの機微に触れる心情にも最大限の配慮を示された。

安倍さんの放った強烈な光とその先に伸びた影は遠き未来の歴史の審判に委ねるしかないと重々しく語った場面は実に見事としか言いようがない。

大いに感服した。

 

あの国葬にては決して浮かばれることが無かった安倍さんの霊魂も今日の演説で紛れもなく天高く昇天したことでありましょう。

 

 

諸悪の根源と言われし恨みも憎しみも怒りさえをも全てを捨象し素っ裸の人間同士が触れ合い融け合った。

野田佳彦の人生観と人生哲学をまざまざと見せ付けられた思いだ。

安倍さんの「美しい国 日本」を野田さんは体を張って演出なされたと云ってよい。