老いのひとこと

四月を待たずに陶芸教室が開校した。

二か月ぶりに粘土の感触を確かめながら紐作りにて細口花瓶を作ってみた。

基本基礎を蔑ろにしたらロクなことがない。

基本のキの字から忠実にヒモを伸ばし輪積み作業を丁寧に入念に指先に力を込めた。

ゆっくりゆっくりと一段一段粘土の感触を味わいながら積み上げた。

縄文弥生の頃の美技を見倣いながら指先に伝わる厚さ加減を感知するセンサー機能を研ぎ澄まし往時の彼らと其の感覚を共有し合った。

しかし此の微妙な感覚は往時の彼らとは比べ物にならぬほど劣化し退化の一途を辿りましょう。

でも往時の彼らに負けないように懸命に誠意を尽くす。

家へ持ち帰り三時過ぎころに正味三時間強の成果が漸く仕上がった。

往時の彼らとは遠く及びもつかぬがしがない吾輩の労作が今仕上がった。