何事もそう容易くはない。
あれこれ試みるが結局のところは腰砕けの頓挫に終わる。
何はともあれ学芸員の方々のお力添えで以って一応解読は為し得た。
作者である一六居士( いちろくこじ)は巌谷一六 ( いわやいちろく )なる人物で幕末から明治にかけての著名な書家で明治の三筆に数えられる人だという。
だから贋作がやたらと多くて、また真偽の鑑定は大変難しいらしいとのこと。
やはり、鑑定団の増田・田中両先生に願うしかありません。
図らずも所蔵する此の作品が本物かどうかは極めて怪しいと言わざるを得ない。
何ゆえならば父親には大変申し訳ないが借家住まいの分際にはどう見ても似つかわしくはないのです。
総字数が56文字で間違いなく7の倍数になる。
七言八句の形態を七言律詩と呼ぶらしい。
漢詩の形態だけは整いましたが問題は意味合いを解きほぐすことなのです。
また同時に此の詩の詠み人は誰なのか時代は何時ごろの人なのだろうか。
分厚い細字の日中辞典と格闘を組み交わすのだが一向に前へは進もうとはしない。
貧弱な語彙力と漢詩への素養が皆無に近い雑魚にはまったく歯が立ちません。
悲しいかな、無惨なる立往生のまま全て終わりです。
願わくば我が末裔の誰かさんにすべてを託す以外に手がなさそうなのです。