老いのひとこと

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鳥越城までは車で行けるが二曲城( ふとげじょう)へは車で行けない。


標高265mとあり麓の歴史館より120mほど登らねばならぬ。


家を出る折りにもその気でいたが登山靴やリュックのことまで気が回らなかった。


普段履きの運動靴にデジカメと筆記用具に飲み水用のペットボトルを携えて手ぶら同然に家を出てしまった。


これは失敗だった、小さな山城であっても決して侮ってはならないことを痛感させられた。


歴史と大自然への冒涜行為以外の何物でもなかった。


山道こそ設けられてはいたが次第に急峻となり細く途切れがち、完全に夏草に覆われ見失う箇所にも出会った。


思いのほか急勾配で足場がない、取り分け玉砂利のような砂礫を敷きしめたざら場があり難儀した。


城跡には本丸はなく廓と称する石や土で周りを巡らせた囲いが二つ三つあって古井戸の跡も見えた。


意外と狭く眺望は鳥越城に比べれば好くはなかったが吹き抜ける山風に掻き消されるように嘗ての山之内衆の咆哮に混じり念仏の合唱が高らかに鳴り響き号泣する嗚咽音が余韻を残すようにやがて掻き消されていった。


帰りには蟹の横這いよろしく横向きになって他人に見せれぬ無様な格好で苦笑しながらの下山でした。


下手をして足滑らせ谷底に落ちれば携帯持たない主義者には文字通り致命傷になりかねない。


 


斜面の空堀から山之内衆からの慎重にいけよと盛大なる拍手がとどいたような気がした。


 


登山口近くの建材具店の長老から板倉旧鳥越村村長さんの話を聞き昔はよかったと回顧談に花を添えられていた。


殿様屋敷の遺構発掘事業が頓挫し絶ち切れとなったことを豪く嘆き悲しんでいられるようであった。