目の前を大河が流れる。
娑婆川が流れる。
いつも右の方へ流れる。
一時しばし逆流したが直ぐに元通り右の方へ滔々と流れる。
水嵩を増し勢いを増しながら流れる。
大河はあちこちに渦巻きをつくりながら流れる。
渦巻きの其のほとんどは右回りのように見受けるが中にちらほら左回りもないことはない。
此の度は少し大きめの左へ回る渦が出来るやに見せ掛けながらやはり右回りの渦に仕上がって流れて行った。
娑婆川はいつもの様に滔々と右へ右へと勢いを増して流れる。
有形無形の物体のみならず有象無象の悪しき物体までもが濁流に呑み込み込まれ何処かへと流されてゆく。
嗚呼、神仏はそれを黙って見過ごすのか。