老いのひとこと

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停滞前線が横たわり秋の長雨がつづく。


恒例の日曜稽古に鶴来まで出向き駐車場に車を止めた。


両サイドのスペースは十分、雨も小降りで傘不要ミラーをたたみキーを抜いてドアを開けた。その途端、予想だにしない烈風が巻き込んで取っ手の右指を引き千切り猛烈な勢いでわたしの車のドアが右横の車両のボデーを直撃した。


「ヤッター」と思ったが全てが終わっていた。 


後高颪の只ならぬ威力を知らされた。


見ればわたしの車の塗料が薄っすらと付着する。


わたしは無意識的と云えば嘘になろう我が身を守らんとわたしは本能的に証拠隠滅を図っていた。


指や手の平でこびり付いた塗料を拭い取ろと試みていた。


素人目には相手車両の塗装には損傷がなさそうだが間違いなく少しの凹みは認めざるを得ない。


 


全てを観念した。


確かに瞬時には我が身の隠蔽工作も図ったが日頃のモットーとする「非切」の精神に真っ向乖離することに気付いた。


竹刀や剣を執って剣の道を追求するものが「非ざる心」に惑わされるとは此れまさに遺憾の極みと云えよう。


潔く受付にて車両ナンバーから持ち主を確認し弁解弁明なしに即座に頭を下げた。


修理費用の請求書と振込口座名を知らせて頂くべく我が住所と氏名を手渡し再度頭を下げた。