其処に在るべきものがない、或る日忽然として姿を消した。
こころの中にぽっかり空洞が生じ虚しく悲しい。
俳聖芭蕉の名句
行く春や
鳥啼き魚の
目に泪
の情景と重なった。
晩春から初夏へと移ろう丁度この時期にわたしは鍬二本を失った。
芭蕉の世界とは無関係だ。
まったく縁遠き俗人が置き引きに遭った。
俗人なるがゆえに其の卑劣なる行為を許すわけには行かなかった。
征伐したいが術がありません。
制裁を下す手段を知りません。
蛮声を張り上げても意味がない。
所在不明の此のお方に少々嫌味を込めて「魚の目に泪 鍬の目にも泪」を献上します。
此の至らぬ老輩の意中を察してください。
悲しければ魚の目だって泪をながそう。
云わんや鍬だって悲しければ目に泪が溢れましょう。
若しやこころ在らば夜陰に紛れてお返しください。
♪♪~異人さんに連れられて行っちゃった~♪♪♪♪♪♪