老いのひとこと

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何んともおぞまじき惨状を放置したものか。
連日の天候不順の上突然の驟雨に網戸もろ共雨戸を閉めたのでしょう。
よく吟味しなかった不注意の為せるわざに他ならない。
生きた百合の首元を閉めつけるが如く実に無惨なる形状なまま一昼夜ほど放置したのです。
其の間わたしらは彼女らのすすり泣くような訴状を聴き入れるだけの情愛を持ち合わせなかった。
無情なる仕打ちを為したものだ。
二つの鬼百合の蕾は此の不条理なる仕打ちに怯むことなく生命の花弁を開いた。
息絶え絶えの形相ながら花として咲いた。
その健気さに命の強さと尊さを知る。
済まなかった許してくれと網戸を開け首枷をほどいてやった。