今回は先生は慎重だった。
わたしの内科の掛かり付け医へ電話を入れ抜歯に伴う麻酔薬注入の是非の確認を執らされた。
つまりはわたし自身が内科医へ電話して確認を頂いたことになる。
七針注射されその瞬時にわたしの歯は事もなく抜け落ちた。
歯根が朽ち果てるほどに痩せ細っていた。
まるで前屈みになる胎児のようにさえみえる。
まさにわたしは胎児に帰ったのです。
後頭部が絶壁なのはわたしそっくりではないか。
タイムスリップしわたしはわたしの母の胎内に帰った奇妙なる錯覚に暫しおちいる。
先生におねだりして我が分身をお土産にして持ち帰ったのです。