エンドウ豆とそら豆と玉葱の収穫を人知れずに祝った。
玉葱の跡地には本場丹波の黒豆に挑戦しようと意気込むのです。
栽培には微妙なコツが在って素人向きではないと聞くから猶さら闘志がわく。
黒いダイヤと云われるほどの貴重品を手に入れようと虎視眈々と睨む。
先ずは開墾からとスコップを入れるがなかなか歯が立たない。
好天続きで岩盤と化した畑は雨を待つしかない。
処が雨後は雨後でぬかるみが酷く歯にへばり付き仕事にならない。
丹波の黒豆の前に早くも難関が立ちはだかる。
愚痴や弱音は禁物と目の前にちらつく耕運機のエンジン音を気合諸共打ち消し誤魔化しながら文字通り老骨に鞭打つ。
百姓はえらいが忍耐心を培うには此れ程の良策はなかろう。
見栄も外聞もない地べたに仰向けになり蛙の腹の天日干しは快楽そのものだ。
ポットの黒豆の発芽の瞬間を一日千秋の想いで待ちわびる子供のような年寄りが此処におる。
待てど暮らせど終ぞ逸材は芽を出すことなく潰え去った。