日曜会幹事の山さんからフエースガードが宛がわれた。
飛沫防止のためのマウスガードと網膜からの感染予防のアイガードを面がね内側に装てんする。
面がね越しに捉える視界はぼやけて焦点が定まらぬ。
剣尖の攻防、取り分け蝕刃と交刃の微妙な違い、そして間合いの感覚が全く掴めない判らない。
暗中模索するしかない。
しばし打ち合う内にふと坂本三十次先生の「遠山の目付」が思い浮かぶ。
此れぞまさに「遠山の目付」を会得する上では打って付けの好材料ではなかろうか。
対峙する相手の全体像を薄ぼんやりと捉えて無の境地にて技を繰り出すなんて言うたら他人様に笑われるだけだ。
と同時に武蔵が説く「観の眼」の奥義も或いは若しかして斯くなる状況下で体得できるかも知れないなんて夢想の中での戯言を胸の内にて呟いてみた。
本日は無声から有声に舞い戻り有らん限りの発声剣道の醍醐味を久しぶりに堪能した。