その翌日にも淡い期待を寄せて覗き込む。
魚の群れは少しばかり下流へと退いたが紅二点を確と確認した。
間違いなく居るではないか。
幼子のように胸が弾み震える手許も自ずと振るえる。
焦点が合わない画像が定まらず案の定レンズに納めることに失敗した。
証拠の写真を手にすることには敵わなかったが斯くなる些事に虚言を吐くほど愚かではないはずだ。
それにしても斯くなる些事にうつつを抜かす間抜けな愚者がよくぞ居たものだ。
どうでもよい魚の営みに一喜一憂する様は傍から見れば異常に映る事だろう。
況してや日ごと欄干から身を乗り出し川面を探るさまは或る意味危険人物に映っても仕方がない。