いつものように欄干より川面を観察する。
ハヤの群れが見当たらずアユたちの魚群が忙しなく旋回する。
其のうねりの中に確かに赤き物体が動きまわるではないか。
ほぼ間違いなしにあの二体の金魚たちではありませんか。
アユたちの群れにたじろぐことなく互いに愛睦まじく遊泳する光景を目にした。
これは驚嘆に値する生物たちの驚くべき環境順応力ではないか。
生態上縄張りを主張する筈のアユたちが他者を受け入れる寛容の習性をも併せ持つことを知った。
他方金魚たちの強かな生きざまも見せ付けられたのです。
やがて秋も深まればアユたちに見習って彼女たちも金石の河口まで落ちて行ってしまうのであろうか。
アユにも母川回帰の習性がある筈だと信じたい。
金魚たちも必ずや此の高橋川の馬替中橋の橋の袂に戻ることを確信したい。