老いのひとこと

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折角、接着剤でくっ付けてもらった仮歯が又また抜け落ちたではないか。

その日の夕食は無難に終えたが翌朝の食事に音もなく外れてしまった。

無念と云おうか天を恨んだ。

天与の生きた歯を欠落させてしまった此の怠け者の愚挙を罵り嘲笑った。

八連結の虚しき安っぽき義歯を眼前にし自ずと悲嘆に暮れて生母としに相済みませんと謝った。

歯医者さんへ泣き付けば午前の部の最後に受付てくだされ三度目の仮歯が装着された。

彼の武蔵の名言通り「後悔先に立たず」、今更悔やんでもどうしようもない。

残りし生存兵と共に最期の往生戦に臨み

一矢を報わねばならない。

さあ三度三度の歯磨き励行と参ろうぞ。