老いのひとこと

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7人姉妹だが揃いも揃って身形がみないびつなのだ。

うち一人は不幸にして一人立ちすら敵わない。

それでもみな個性的な特性を身に付けいじけることなく伸び伸びと朗らかに生を享受している。

其の彼女らを手懐ける変物あるじはせめてもの薄化粧ぐらい施してやろうと何処からともなく化粧道具を探し出し磨き始めた。

哀れにも20年越しのこびり付いた垢のような白黴・黒黴を束子で落しペーパーを掛け手製の巨大なる糠袋で扱くように擦り捲っては磨くに研く。

少々手荒な手法ながらも分け隔てなく均等にしかも手厚く糠脂を塗り手繰って手の平で引き伸ばし持ち前の柔肌に光沢をより戻さんと研磨に研磨を重ねる。

恰も、あの清兵衛少年に肖らんと暇を見付けては精を出す。

急いては事を仕損じる、持久戦を確と覚悟して営々と日々を厭わず磨くことに致しましょう。

自然に育まれた美しさが甦るように精いっぱい彼女たちを労わってやらねばならない。