老いのひとこと

予報では大きな寒波が忍び寄り大雪になると警告する。

ＧＳにでも持ち込めば済むものを余力ある限り自主自立自助をモットーに文字通り重い腰を持ち上げる。

年寄りの冷や水だと揶揄され冷笑の対象となってしまえば元も子もなかろう、気を付けよう。

石橋を木槌で叩きながらそろりそろりと段取りをもたもた思案しながら老体を処す。

七つ道具を駆使しながら労働の歓びを噛みしめながら歌でも口遊みながら、更には薄っすら笑みをも湛えながらタイヤを交換する。

待ちに待ったシーズン到来と威勢よく精を出す。

最大の難所は何んと云っても四つのボルト部分にタイヤの四穴をパシッと宛がうことだ。

大地に両膝を着け丹田に力してタイヤをしっ立て上げてゴツンと一発で命中せなばならぬのにそれがままならぬ。

悲鳴に近いうめき声と共に踏ん張るザマは誰にも見せたくはない。