老いのひとこと

上の前歯の差し歯がポンコツになったので入れ歯に切り替えることにした。

待ちに待った入れ歯の歯入れ式に参れば先ずは医師の手により装着具合の点検が為され微調整が為された。

その後は看護師に依る脱着のコツと言おうかノウハウを事細かくしかも懇切丁寧に施されると思いきや何ともぞんざいに厄介者の耄碌ジジイをあしらう様な仕草にガックリと幻滅してしもうた。

左右2本づつの自前の歯に入歯の金具を填め込むことが敵わず幾度試しても上手くは行かない。

プロならプロらしい優しいサゼッションが欲しいがそれがない。

家で練習するしかありませんねと軽くあしらわる始末だ。

更に追い打ちを掛けるように言語発声が出来ない。

2段目のイ・キ・シ・チ・ニ・ヒ・ミ・イ・リ・イが発音不能に近い。

発音不明瞭なテレビのコメンテーターのことを思い付いた。

更にもう一つ味覚の中枢部が他人のベロで覆い被さり味もそっけもないではないか。

踏んだり蹴ったりだ、もう破れかぶれだ。