老いのひとこと

 

 

             無断掲載 

野々市の市立図書館から借りだした陶芸資料の返却を事もあろうに二か月以上に亘り怠ってしまった。

おまけに内一冊が見当たらない、先日窓口にて平身低頭して謝った。

紛失分の代償方法を質せば、其の必要は在りません此の二冊だけですよと穏やかな口調で応じて呉れた。

何らペナルテイも在りませんよと優しいことばが返りやれやれと胸を撫で下ろした。

休み中だけあって小学生に交じり子供連れの若いお母さんたちと中高年齢の男性の来館者が目立つ。

盛況を来たすほどでもなく人の群れをちらほらと散見する館内を見渡せば特設された催事場がある。

見れば「平和と向き合う夏」と銘打つ[原爆と人間展]が静静と開催されているではないか。

少しく違和感を禁じ得ない、ところが当方の認識不足を甚く恥じざるを得なかった。

此処野々市は県下で最初に平和都市宣言を成し遂げた先進都市であることを知らなかった。

38年前の1984年(昭和59年)に町議会が逸早く採択したのだだという。

 

中世の頃加賀の国を統治した富樫一族の中でも秀でた名君として四代目富樫忠頼が「自安和楽」の教えを説いて善政を敷いた。

武士も町人も農民もみな輪になり「じょんがら節」を歌い踊ったのだと云う。

此の「自安和楽」の精神は「じょんがら祭り」そのものであり間違いなく今の世にまで伝承し引き継がれて居りましょう。

 

広島・長崎の原爆資料館へ参るまでもなく其の極々片鱗であれ厳粛なる雰囲気を体得出来たことは甚だ以って了といたす。

小1・小2の姉妹が感想文を記す。

稀に見る奇才の持主でお姉ちゃんは最後の結語に「わたくしが平和のためにできることは何だろうか」と投げ掛けている。

驚いた。

凄いねえと何度も褒めてやった。

 

惜しみらくは入場者が余りにも限られて一瞥すら為すことなく通り過ぎる人影にはやはり寂しさを覚える。

此の関心の薄さは与党政治家たちには思うつぼなんだろう。

メデアのPR不足も気になる。