老いのひとこと

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無知無学をさらけ出してなんの意味があろう。

意味なんかあろうはずがない単なる恥さらしにすぎない。

野々市の近くに住みながら富樫一族の名はさることながら林を名乗る有力武士団が此の加賀の地に君臨していたとは露知らず何という間抜け野郎が居たものか開いた口が塞がらない。

野々市の上林・中林・下林此の聞き慣れた地名こそが其れを如実に物語るというのだ。

寺西艸骨(そうこつ)著「加賀武士団の創統 林一族」を一気読み致しまさに目から鱗が落ちる思いを新たにしたのです。

実を申せば知友F氏のご好意を得て鶴来地内に自生する樹齢700年の大けやきを拝観するべく案内を受けたのです。

そして嘗ての大庄屋もしくは十村級の豪農の豪邸の中に導き入れられた次第だ。

古色蒼然とした目も眩むような立派な家具調度品の数々に度肝を抜かれる。

格調高い当時の権威を醸し出す雰囲気が館の隅々にまで充満する。

気品溢れる老女が案内を買って出て当家の由緒を物語るのだが此の不埒者には全然話が通じない。

予備知識皆無の全盲には判る筈がなかろう。

女あるじの姓が林を名乗ったことを手掛かりに帰宅後直ちに詮索すれば「林六郎光明」に行き着き早速図書館にて前出著書を借り受けたことになる。

畏れ多くも武士の棟梁の大邸宅の敷居を跨いだことになる。

 

土着の武士団林一族の全容をば此の齢に至って勉強させていただき忝い。

帰り際にはあるじより欅の樹皮を手渡された。

さすが700年以上の歴史の重みがずっしりと極めて感慨深い。