老いのひとこと

運動機能の劣化退化は歳相応に見事に進化する。

偶にYシャツに腕を通せばボタンを懸けるのがたどたどしくも捗らない。

ズボンならふら付きながらも辛うじて穿けるのだが下手をして転倒しオデコを打つだけで済めば良いが骨折沙汰になれば笑いものだ。

靴下はやばいので何かに寄り掛かるが身を屈めるだけで重労働感を覚える。

 

またスピード感覚が可笑しくならないようにと時折ハンドルを握る。

或る時秋の陽射しを浴びながら指パッチンを試みる。

取り立てて気分が乗っていたわけでもないが右手からは心地よい音色が耳元にそよぐ。

ところが此れどうしたことか左手がまるで麻痺したように親指と人差し指の接触すらままならない出来ないのだ。

狼狽えました運転操作中なので尚のこと少しく気が動転しかけた次第だ。

スピードを緩めてグーパー運動を繰り返し指の柔軟性を求め本気で訓練に努めた。

車中でなくとも行う場所が違いはしないかと思いつつも練習した。

何とか様になったが音なしだった。

翌日密かに試してみれば少しく音が出たではないか。

学習効果があったようだ。

少しく嬉しくなった。

 

でもどうしても薬指からの音色を出せない。

たかが指パッキンされど指パッキン

此れ体機能のバロメーターなり。