老いのひとこと

何の変哲もない在り来たりの西洋菊が畑の片隅に自生する、何年も放置されたままの菊である。

立冬の頃に咲き始め群生する。

無造作に刈り取り荒ら家で倹しく余生を送る、歳を越せば醜く萎れ一生を終える。

処がたったの一輪だけが稀有なる生命力を宿し今も矍鑠とする。

 

立冬のころに咲き始め

Xmasイヴをたのしみ

元旦正月には愛でられ

大寒にも耐え抜き

節分も味わい

ひな祭りにも可憐さを振り撒き

梅の花とも競い合い

尚且つ今も健在だ

 

願わくば桜の頃まで長寿を全うし給え

健気なる愛しの野菊よ

生ある限りを生きよ

生きよ生きよ大いに励め

ちっちゃな生命に誉れあれ