老いのひとこと

ああ棒切れや

 

つわもの気取りの

 

夢のあと

 

 

法定の形のために仕立てた木剣が二本、日本剣道形を演ずるための太刀と小太刀、取り分け愛用の使い慣れた本枇杷木刀はわたしの分身だ。

黒檀まがいの木刀は重くて使い物にならず飾り物に過ぎなかったなあ、悪かったなあ。

素振り用の赤樫木刀にも水牛の本革製の鍔が装着するではないか。

 

しかし今となりては只単なる棒切れ、木片の切れ端と化した、極めて残念至極と云えり。

然りとてゴミ処理場へは行かせたくない、願わくば我が柩と共に火にくべて欲しいものだ。

 

一介の剣士を夢み強者気取りで精進したが精進足りずに老いぼれ朽ち果てる、夢のまた夢で在ったなあ。

 

鍔付き赤樫木刀は舟田氏に贈与した、快く受け取って呉れてなによりだ、善きお人に引き継がれ何よりだ。