老いぼれの独り言

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戦中戦後間もなき頃のわが家の台所事情は極貧のどん底にあった。
大家さんの御妾さんとの同居を余儀なくされその人の厨房のゴミ箱を漁った記憶が今以って甦る。
母の面影と共に倹しい夕餉の情景が焼き付いていて離れない。
農林一号のさつまいもに雑炊が宛がわれた。
どす黒く澱んだ茶碗の底に数えるほどの米粒が沈み他はイモの蔓
岩のように圧縮された出来そこないのとろろこぶが無雑作に溶かされていた。
 そしてもう一つ母が何処かで工面した『スベリヒユ』が彩りを添えてあったことを微かに思い返す。
 
 此の『スベリヒユ』にはよくお目に掛かる。
 路傍にも空き地にも荒れ果てた畑地にも旺盛に繁茂する。
 先日の人様の畑に闖入した折にも大量に目にした。
 少し採取し家へ持ち帰ったら家内は気を効かせて食べごろに刻んであった。
 ホウレンソウより多少余計目に4分ほど塩を少々施して茹でたという。
 珍味で絶品なり。
 なかなか生ける。
 柔らく口触りもいい。
 生姜と三杯酢が味を一層引き立てたようだ。
 酒が美味かった。