弓事始め《32》

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 ㉜当道場には巻藁は二基あるが同時に二人が射ることは敵いません。
 一年以上に渡りこの巻藁を独り占めし独擅場として欲しいままと致してきた。
 ところが先日以来、とある外国人のお方が新たに入門され巻藁中心に専念されるようになりました。
 云ってみればわたしにはまさに弟弟子に当たる存在になろう。
 互譲の精神よろしくしてわが修練の場を割譲すべきとの判断に及んだ。
 止む無く的前に立たざるを得ないとは実に変な言い草だ。
 弓を志し弓を修業する身ならば的を射て当り前なのだがわたしにはその意欲も願望も左程湧き出ることはなかった。
 恐らくわたしの性格からすれば射てども射てども的中しなければ落胆の余り本来の弓道精神を歪曲させ逸脱した矮小でしかも偏狭なる中り屋さんに変じてしまうであろうことを危惧したのです。
 次元の異なる高尚な弓道を目指し近付いてみたい。
 
 でも現実として、的前に立たざるを得ない立場へと追いやられたのならばそれに適応せざるを得まい。
 自然の摂理に外ならず素直に従って然るべし思う。
 そろそろ的中屋さんで品定めを決意しなければならないかも知れない。