どうしようもない歯の痛みに苛まれた時ほど歯医者さんの有難みを感じ入る時はない。
三十年来のお付き合いでお父さんの代ご子息さんの代と親子二代にわたって可愛がっていただきました。
そのような歯医者さんに対し此のわたしは理不尽なモンスター振りを発揮いたそうなんて大外れたことを企むなんてトンデモナイ。
只、わたしの上の歯並びは美しく復元しましたが下の奥歯は左右共に抜けたままです。
そしたら先生は左の奥歯の一本を抜いてしまった方が入れ歯治療には都合がよいのだとおっしゃるのです。
其の時ばかりはさすがに少しばかりびっくりしてしまった。
そもそも歯医者さんは患者の歯が抜けたり脱落しないように出来るだけ長持ちすように治療を施していらっしゃるものだと理解していた。
ところが其処へ生きている歯を生きたまま抜いてしまうとはいくらなんでもそればかりは大切な歯医者さんであっても頷く訳にはゆかないのです。
先生そればかりは御勘弁願いますと懇願せざるを得ません。
これをモンスターと云われるのならば仕方がないのだがやはりどうしても合点はいかないのです。
先生には入れ歯作成は此の歯が抜け落ちてからでも遅くはなので待ってくださいとお願いするしかない。
尤も此の歯の命より先にわたしの命の方が先に逝くかも知れませんと申せば笑われてしまった。
