老いのひとこと

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東京中野区にある山岡鉄舟所縁の高歩院にて大森曹玄禅師直々の薫陶に与かったと云う桐田師匠に久方ぶりに再会が適った。


もう彼此十年近く連絡が途絶え安否を気遣っていた矢先である。


幸い此処金沢に居住されると云うので近くの居酒屋で一献交わしながら旧交を温め合った。


古流剣術直心影流とは何ぞや、併せて「法定の形」の真髄をば叩き込まれたわたしの師匠に他ならない。


あの往時は専ら仕太刀を相勤め「八相発破」一の太刀の何たるかを無我夢中で学んだ。


右八相の構えなら我が脳天と左小手を敵に曝しながら技上位の左諸手上段の敵方へ身を捨て先の気鋭く一の太刀を繰り出し死線を乗り切る極意を会得しよう懸命でした。


嘗ての防人たちになぞらえて此の「法定の形」と直向きに向き合いました。


技の優劣や勝負はどうでもよいのです。


要は全身全霊で打ち込めばそれでいい。


ただ遺憾ながら刻一刻と齢が重なる、急がねばなるまい。


 


今再び此の師匠と共に「法定の形」を打ち合う喜びを噛み締めながら居酒屋を後にした。