老いのひとこと

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本日の古文書講座の先生は何と加賀本多家の祖本多政重の直系のご子孫に当たる本多先生でした。

利家の家督を長男利長が継いだ後腹違いの弟利光(利常)に家督が移るのだがそのバトンタッチの前後に焦点を当てた微妙ないきさつが本日の講義のテーマでした。
利長に実子が居ないので異母弟の利光を養子にした。
利長には実弟利政が居たが家康の命に叛いたばかりに相続が敵わず利光家督を継いだ。
ところが利光(利常)にとって一つ気掛かりな事があった。
其れは利政の実子直之のことであった。
利家の側室の子に過ぎぬ利光にはやはり利家の正室マツの血を引く直之が煙たい存在で気になって仕様がない。
10歳年下ではあるが祖母マツからも篤き寵愛を受けしかも凄く利発な直之が目障りな存在へと気持ちだけが昂ぶってゆく。
斯くなる状況下にあって利光は一計を画した。
つまりは利光は自分の正室珠姫の持つコネクションをふんだんに活用して徳川将軍家に働き掛け助力を要請する。
其の仲介役を果たしたのが外でもない幕府とのパイプの太い年寄格筆頭の本多政重そのものであった。
利光からの要請を受け今日なら電話やメールだろうが政重は手紙文をしたため江戸在住の実父本多正信の手許へ届けた。
今日の教材は其の書状に違いない。

利光にとっては目の上のたんこぶの様な直之の存在では在ったが利光にも世継ぎの実子光高が誕生したので直之を自分の家臣団に組み入れ2000石を給わったと云う。
また直之には祖母マツの化粧料と称する遺産を相続し加賀八家の一つ前田土佐守家の主として活躍し加賀藩政に大いに貢献したのでした。