老いのひとこと

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        無断掲載

 

殊更、週末の竪町散策を思い立ったわけではない。

中学時代の旧友たちとの再会の日だったのでふらりと足を踏み入れたにすぎない。

此のストリートに相応しくない年恰好のしかも湿気た髭づらが迷い込んだので或る意味衆目を集めてしまったのかも知れない。

突然、金髪の見目麗しき二人の女性がわたしの前に立ちふさがり何事か盛んに語り掛けてくる。

英語らしいが全く判らない、口をもぐもぐさせていたら彼女たちは今流行りの翻訳機能付きスマホで「貴男の写真を撮らせてくださいお願いします」を突き出し頭を下げる。

一瞬戸惑ったがこんな貧相な年寄りが国際親善の一助と成り得るのならばと快諾した。

笑みを湛えようと精いっぱい試みるが顔が引き攣るばかり。

わたしは自ら「アイアム84イヤーズオールド」と発音しようとしたが言葉にならず

「I‘mエイテーンフオ、ナインテーンサーテイファイブ」とだけ繰り返した。

「フロムアメリカ」と聞けばルーマニアからですと答えてくれた。

屈託なきとても明快なるルーマニア女性に逢えて今日は最良の日でした。

佳き旅をと心の中で念じた。

 

ブカレスト観光も好かろうが夢のまた夢でありましょう。

 

そういえば前日8日に卓球W杯で日本はルーマニアと戦った。

そのサポート隊の一員であったのかも知れない。

帰国に際し、新幹線で移動し金沢見物を目論んだに相違ない。