老いのひとこと

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背戸の草むしりをすれば古木しゃくなげの異変に気付く。

枯死している、幸い全滅には至らず一部の枝に死に神がへばり付いた。

いと哀れや流行りの病にやられたか。

木陰なく下界の酷暑にやられたか。

水も与えず悪いことをした。

山麓から我が家の背戸に移り住みよくぞ四十年の長きにわたり生き永らえたものだ。

桜の花を追いかけるように連休には人知れずに咲き誇ってくれたものだ。

お前さんは切り花には向かないが此の世を去るにあたりせめて此の花瓶にてあのしゃくなげ色の淡いピンクの清楚な花をもう一度咲かせてくだされ。

今わたしの瞼の裏にはそれが薄ぼんやりと見えるのです。

枯れ木に花を咲かせねばならない。