老いのひとこと

f:id:takaotm1101101:20200110065840j:plain

八ツ歳年下の弟は同じ親から血を引いてよく酒を好む。

漬物で一杯やりましょうと招き入れたはよいがさすがに沢庵だけで持て成すわけにはゆかないでしょう。

家内は気を利かせ刺身などを調達してくれて大いに助かった。

わたしに出来ることは精々我が家に愛蔵するアルコール類をお品書き風に列挙し障子の桟に貼りだすことぐらいしかない。

在るは在るは出て来るに任せて数えれば十点以上にのぼった。

手製の木天蓼酒は彼是五十年物の古酒に違いない。

これを機会に戸棚の奥から引っぱり出されようやく陽の目を見たことになる。

山で採取したマタタビの実をリキュールに浸しただけの代物に過ぎないが弟は珍味がすると好んで飲んでくれた。

ポーランド製の96度のスピリッツには顔を顰めた次第だ。

一通り賞味すると十品を盃にして舐めていった。

さすが酒豪だ。

 

能くぞ気を利かせてくれたものだ。