老いのひとこと

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往時にはコゴミやワラビに山ウド、センナなどの山菜を求めて遠路を厭わず良くぞ行ったものだ。

番場を目指し先陣を争うかのように早起きしたものだ。

今やその気力も体力も何処へこそ行ってしまったのかものの見事に失った。

ところが不思議なものだ、先日野田山を散策した折に墓場の蔭に夥しい数の野アザミが顔を出す。

ついつい昔のさもしい料簡が蘇り春の山菜の代替えとして収穫することに決めていた。

未だ花はつぼみ状で新芽の穂先を摘み取ることにした。

確かに根元の葉柄には鋭い棘があり閉口するが概ね容易く採収できた。

序でにヨモギを探してみたがどうした事か全くどこにも見当たらなかった。

 

家内は天ぷらに仕立てて夕餉には色を添えてくれた。

此れはまた何んという乙なる春の珍味なんだろう。