老いぼれの独り言

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町内会の役員をなさる森さんに誘われ「カタクリの花」を見に行った。
高尾町の山里の外れから林道沿いに竹林の中へ入る。
単線の林道は簡易舗装こそしてあるが相当の悪路で急勾配だ。
両脇はまさに竹藪で延々と続く。
そこらの全山これ竹林のみでさすがお見事と云うしかない。
尤もその大半はご多分に洩れず手入らずの荒れ放題で密生が著しい。
高尾の筍はブランド銘柄たる「別所産の筍」と名を変えて市場に出回るのだという。
手間暇掛けての過酷な労働量に比し収入は追いつかない。
機械化と云えども収穫時のベルトコンベアーしかない。
この広大なる竹林を見てつくづくそう思った。
森さんは手慣れたものでわが裏庭同然に複雑に入り込んだ林道の網の目を縫ってお目当ての「平栗のカタクリの里」に入った。
夥しい数の車だ、大勢のカメラマンたちは愛用のカメラを駆使して撮影に余念がない。
のどかな春の日差しが降り注ぎ寛いだ一時を満喫している。
わたしもその仲間に加わりゆったりした気持ちに浸った。
カタクリは珍花と聞いたがとんでもない林道脇のいたる所で今を盛りに咲き誇っている。
清瀬」を経由して「坪野」に入り、更には「倉ヶ嶽」の集落を見て伏見川の源流にまで遡行した。
そして、内川水系の「住吉」と「新保」の村落を経て帰路についたのでした。
その間、森さんからは山桜にコブシ、よく似たタムシバ、堂々としたブナの木も教わりました。
クロユリの仲間コバイモの群生地もありました。
更には、センナにコゴミ、フキノトウ、アサツキもタラノメにコシアブラと数え切れない。
森さんは造詣が深い、確かにその道の通でいらっしゃる。
今一斉に芽吹き始めた春の胎動を目の当たりに見聞し身もこころも若緑色に染まり安らいだ。
 
森さんは何にも云われなかったが此の際のハプニングに伴う目覚めの悪さを、わたしから断絶し忘却させんがための無言の演出のように思えてならなかった。
感謝いたさねばならない。