老いぼれの独り言

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「おのれの知られざるを憂えずおのれの能なきことを憂う」
おのれが他人から評価されぬことをくよくよ思い悩んでいてはいけません。
おのれには他人が有するほどの能力を持ち合わせていない事を思い悩みなさい。
孔子さんの言葉です。
とても良い言葉です。
その通りなのです。
 
だからこのようなことを申してはいけないのです。
恥ずべきことなのです。
 
町内の連絡網で訃報を流してほしいとの御親族からのご依頼があったので当然のことを果たしました。
然るのち、代表の者は町内を代表し所定の金額を包み、其れとは別に極めて些少ながら個人名義でも香典袋を持参した。
当然ながら町旗は弔旗として斎場に安置してもらった。
処が葬儀当日に焼香順が披露される中で終ぞ町会名が呼び出されることはなかった。
肩書や地位あるものの名は旧態のまま進みゆく中において・・・
 
流儀が変わった。
時代の変革の波に晒され葬儀への価値観までもが流され超現代化してしまったのか。
洗練された純都会的風習が遂に此処金沢の地にまで靡いてしまったのか。
泥臭い田舎風の感覚で物を言ってはいけない時代になったのかも知れない。
狭い地域エゴで物を言ってはいけない時代になったのかも知れない。
しかし、町内と云う狭い空間で共に居住を享受する者同士がまったくの善意で以って故人の霊を弔わんと参集し合掌した。
そして焼香順を待っている・・・
しゃしゃり出て先んじてはいけない・・・
 
とうとう最後尾におどおどしょぼしょぼと町内の大勢の同士は焼香を施されたのでした。
わたしは腑に落ちない気持ちで一杯でした。
わたしは自分に能がないことをきつく嘆き憂え苦しんだ。
町民の同士に相済まなく思う気持ちがしばらく消えることはなかった。