老いのひとこと

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臥して花見をした花園は今はもう済んだ、又在所の若者を軍神として祭る三基の墳墓のほど近くに山吹の棲み家があり梅が咲き桜が咲きそして今を盛りに柘榴が咲き誇るお花屋敷がある。

柘榴が見事なのでレンズに収めて目を遣ればあるじが庭しごと、「柘榴を失敬しました」と声を掛ければ何とも円やかな笑みを湛えた好々爺然とした老紳士ではないか。

「いやあ此の柘榴は生憎実がなりませんからどうぞご自由に」と実に茶目っ気たっぷりの好人物ではないか。

人懐っこい笑みを漏らして語り掛ける。

此の八重柘榴は何年待っても実を付けては呉れません。

待つこと久し、とうとう此の齢になりましたと素敵な満面の笑みで応ずる。

此の人物に肖りたい、此の人物のように円満に人生を充実させねばならない。

素晴らしいお人に逢えて今日は本当に良かったなあ。