老いのひとこと

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真っ黒なハスキー犬ペイちゃんほど人懐っこいワンちゃんはいない。

ジャレ付くに程が在ろうと思うほど大胆極まりない愛情表現をする犬である。

一方、街角に昼寝をするポチは茶色の毛並みの中型犬だがこいつは何とも愛想むない    

決して尾っぽを振らないし口笛を吹けども振り向きもしない。

育ちと云おうか持って生まれた性分かわからぬが随分と違うものだ。

人様も此れ又ワンちゃん同様随分と隔たりがあるものだ。

畑で日向ぼっこをしながら草をむしるばあ様はいつも笑顔を絶やさず作物の作柄を語り掛ける。

先日はむかしを思い出してかタモを振ってチョウと戯れる。

又、花柘榴とスモモと八重山吹の咲く家の

好々爺の笑顔は何と素晴らしいことか。

色とりどりの花々が咲き乱れる極楽園のよ うな花園をお世話されるオバはんはまるで仏さまそのものだ。

ところが然に非ざる御仁に出くわし本日は興ざめしてしもうた。

スズメのお宿の近くで例のオッサンに出逢ってしまった。

不愛想にすれ違うのも能がないとこちらから「😋天気やね」と声を掛けるが睨み返してくる。

もう一言「住まいはご近所かね」と優しく語り掛ければムッとした形相で突っかかって来たではないか。

手前さんに声を掛けられる筋でないと云わんばかりにまるでケンカ腰ではないか。

グッと我慢して引き下がればよいものを遂上気して「手前さんはガキの頃おやから何を教わったんだ」

「知らんもの同士が挨拶を交わすことに何ゆえいちゃもんを付けるのか」

「此の世知辛いシャバを穏やかに生きるにはせめて年寄りどもは挨拶を交わす手本を示さにゃならんのだ」と啖呵を切ってしまっていた。 

相方も一層切れてとうとう拳を振り上げて来る。

「殴るなら殴って見ろ」

「殴れるものさあ殴れ」と左の頬を突き出す。

二発までは喰らっても我慢しよう。

三発目には相討ちで殴り返す其の気で居たが先方さんも辛うじて良識を持ち合わせていて呉れたようだ。

事なきを得た。

でも不愉快な日であった。

其の気をそのまま一気に書き殴ってしもうたわい。