老いのひとこと

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県主催のお勉強会へ寒空の中バイクに乗って馳せ参じた。

「はじめての古文書 古文書解読入門」と銘打つ講座にしては殊の外難解すぎた。

周りを薄々見渡せばみな心得顔で頷いているが此のわたしだけはダメでした。

不甲斐なくも早々にギブアップ、全くのお手上げ状態でサジを投げ捨てていた。

先ずは膨大な資料が宛がわれ御身のペースでどんどん話されるが何分音声が通らない。

補聴器のボリュームを最大にしても歯切れが悪くただ雑音でしかない。

此れも修行だと心して忍の一文字に終始した。

解らぬまでも何とか喰い付いて自分なりの咀嚼を試みるのだがそれが敵わず実に悔しかった。

不思議なものだ、此のままならぬ思いは次に繋がってしまった。

バイクが始動しなのだ何度キックしてもセルを回しても一向にエンジンが掛からない。

プラグかバッテリの交換時期を逸したのでしょう、抗する術なく諦めるしかなかった。

道行く人に尋ねたが此の近辺には修理店はないという。

香林坊のバス停まで歩くしかない、そぼ降る冷たい雨の中をゆく。

ところが乗り慣れない路面バスなので行き先に戸惑う内に二便やり過ごしてしまう。

要領の悪い奴だ、齢の所為にしても余りにも情けなすぎる。

的確な判断力が失われつつあることをやはり自覚するしかない。

家に帰り湯につかれば置き去りにしたバイクに自賠責保険証を置き忘れたに気付く。

鍵の掛からぬトランクならやばかろう、不安の念がみるみる膨れ上がり風呂から飛び上がりバイクの下へ車を駆る。

愈々、来るべき時が来たのかと半分自嘲気味に夜の街を走らせたのでした。

付きのない悪運つづきでさすがにうんざりした。