老いのひとこと

外歩きの調子のバロメーターは口の中の乾きにある。

今日は潤っているぞ、絶やさぬようにベロを動かし唾液の分泌をうながしながら歩みをとる。

老人ホームの紅梅の蕾はまだ硬いが微かにほんの少し色付き始めたぞ。

裏通りの大おばあちゃん宅の枝垂れ梅は其の気配はまだなさそうだなあ。

洗濯好きのお多福の大女将宅には今日も洗濯物がないがどうしたのだろう。

三勇士に向かい何時もの口述を呟き、あすなろ公園には幼少組の園児たちが手押し車に詰め込まれ身の不自由を嘆くが如くみな無表情だ、陽射しは在るがみな寒いのだろう。

ブルーベリーとストロベリーに挨拶し愛想むないポチと短い会話を交わし、馬替の保育園のネット越しに元気のよい年長組からの意気の好い歓声を受け至ってご満悦だ。

 

お昼は薩摩産黒豚のすじとんかつに此れまたご満悦、御負けに高橋惠子の新刊図書二冊の無償提供に与かり更なる大のご満悦。

 

お蔭さまで家内は快方に向かい有り難い事だ。

重湯から徐々に普通食へ切り替えてゆくらしい。

順調に快復の道を辿って欲しいものだ。

 

その翌日には晴れて退院の運びと成り十日振りにして娑婆の仲間へと生還できた。