老いのひとこと

雨雲のレーダー観測網からキャッチしたらしく孫は一雨ありそうだ、海釣りは控えた方がよさそうだと進言する。

予報をくつがえし現下は晴れ間の見える天候だが老いては孫に従うべしと折角の釣りは断念した。

その代わりに海でも見に行きましょうと孫とのドライブと相成る。

車中、職場のこと将来のことなどよもやま話をしながら車はどうも安宅の関跡を目指す。

梯川河口にも釣り糸を垂れる人の気配なく海岸線に出るも釣り人の人影は見当たらなかった。

西の彼方は明るみは差すが夕日は望めそうにもない、テトラポットが海蝕で沈みかける、日本海の柔らかい怒涛が砕け散る。

静かな海、微かなる海鳴りをわが鼓膜も捉えたようだ。

其の狭間に雷鳴のような空気の振動、地響きを伴う轟音が空一面から降り注ぐ。

しばし戸惑えば孫はF15の騒音は思いの外だと解説する、そう云えば小松基地に近いのだった。

 

併せて此れが常態化したプーチン侵略下のウクライナの民衆を思えばこころが憂える。

 

義経と弁慶に富樫左衛門が見守る銅像の前でしばし往時を偲び記念の写真に収める。

 

やおら小雨がパラつき次第に雨足が大きくなり帰りの車中では視界が遮られる土砂降りにワイパーが激しく動いた、釣り断念は正しく正解であった。