老いのひとこと

鱗町のうどん屋老舗・太田屋さんに午前11時参集の葵の会に見事な大遅刻を仕出かす。

金劇前バス停から鱗町までの道のりを軽く見くびった所為で約束の時刻を40分近く遅れてしまった。

必死の思いで足を動かすがままならぬ鈍重なる足取りではどうにもならなかった。

咎め囃す人誰も居ずさすが同窓生の馴染み仲間の集いなので助かった。

自慢話や武勇伝は互いに自粛し合いもっぱら忍び寄る病魔との格闘記を開陳し合い互いに納得し合った次第だ。

 

突然幹事さんから本日の此の集いは今回を以って打ち上げしたいとの報告を聞き、いや皆さん夫々多かれ少なかれ身に疾患を宿すものの今現に此処に顏を揃える以上其れは早計ではなかろうかと即座に提案したのだが此のわたしの発言が重大なる過失で在った事に後程気付くのでした。

お開きとなり席を立った折にハッとさせられたのです。

重篤な疾患で歩行に困難を来たす御方の存在を知らなかった、遅刻者には知りようがなかった。

その当事者の心中を中傷する言動だったのだ

六人は記念写真に恭しく納まった。